時空間の異なるミステリー小説の読み方
何かで目に留まった書評が気になり『マルタの鷹』(ダシール・ハメット著、村上啓夫訳)を読了した。1995年にアメリカ探偵作家クラブが発表した「史上最高のミステリー小説100冊」では、総合2位にランク付けされたハードボイルド探偵小説の名作であるが、江戸川乱歩の「正直に言うと、退屈しながら、無理に読み終わったようなものであった。」に近く、一気読みをさせられる推理小説では無かった。ただ最近思うのは時空間が異なるため、通信手段・移動手段・貨幣価値の変化で日本の松本清張や先日亡くなった森村誠一、海外ではアガサクリスティー等の名作はドラマによる脚色やメディアならではの付随情報が理解の助けになるように思える。本作も1930年出版の英語を苦労しながら読むか、訳者には恐縮だが最近話題の生成AIで時代に合わせたシナリオにした方が楽しめるかもと思いながら、手に取った2000年1月28日53版の重みを眺め直した。