将棋に学ぶ

トッカイ 不良債権特別回収部(清武 英利)を読了した。不動産バブルに端を発した物語なので1990年代の状況が背景として詳細に語られている。自身、大阪で初めて自宅購入した頃、とんでもない状況が展開されていたことに愕然とする。その不良債権回収物語が一昨年刊行されるには、筆者があとがきに語る「津軽の馬鹿塗り」的調査と再現による、一方を賞賛や非難に留めない尽力によるものであろう。本書で頻出する「奪り駒」の概念は将棋の概念であるが、将棋の起源といわれる古代インドのチャトランガというゲームから戦国時代さながらの教訓をもって15、16世紀にルール化されたようです。昨年公開された「Fukushima 50」でも語られるように専門領域のプロフェッショナルにしか対応出来ない領域は、それに携わった方々を非難するのでなく上手に活用し難局を乗り越えることを学ばせてくれた。

2021年04月01日