学び続けること
バラク・オバマ元大統領が夏の読書の推薦書のひとつに選んだこが日本でも紹介されていた、Educated エデュケーションー大学は私の人生を変えた(タラ・ウエストオーバー)を読了した。日本語訳版(村井理子訳)が2020.11.25初版なので比較的新しい書籍なのだが、何時の時代の話なんだろうと思いながら読み進めた。というのも筆者がモルモン教サバイバリストの両親に育てられたとはいえ、大学入学資格を獲得するACTを受験するまで、出生証明書を持たず(=実際の誕生日不明)、公的な学校で学ぶこともなく、マークシートテストを体験するという昨年の大統領選挙における格差や問題意識の違いを納得させる。大学入学後は数々の有名校で奨学金で学び、28歳でケンブリッジ歴史学の博士号を取得する。日記を残していたようであるが、32歳にして40章に渡る半生を綴るこの回想録は読みごたえがあり、愛する両親との主に宗教観から来る溝を教育に基づく「自己の変化」と肯定的に結ぶ流れに好感を与える。奇しくも公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会・ 森喜朗会長が女性蔑視発言で物議を醸し辞職を余儀なくされたが、筆者の両親を見るような錯覚を覚えた。やはり国際社会で活躍し、リードする人物には学び続けて欲しいとの思いを痛感させる書籍でもあった。